循環器内科

循環器内科の診療

心臓と血管の病気が専門です。高血圧・心不全・狭心症・不整脈・動脈硬化・大動脈の疾患など幅広く診察を行います

心臓の病気は大きく分けると心不全と突然死の2つです。この2つから患者さんを守ることが究極の目標になります。

こんな方はご相談下さい

  • 胸が締め付けられるように痛む
  • 同世代の人と同じ速さで歩けない
  • 脈が飛ぶように感じる
  • 朝起きたときにすでに足が浮腫んでいる
  • 歩くとふくらはぎが痛くなるが、休めばまた歩ける
  • 健康診断で心電図の異常を指摘された(健診結果をご持参ください)
  • 心臓や血管の手術をしたので、これから診て欲しい

心臓の病気

大動脈弁狭窄症① -高血圧が治った?-

大動脈弁は、血液が心臓から大動脈に出ていくところにある出口の弁です。加齢とともに動脈硬化を起こして硬くなってくることがあります。
硬くなれば開きにくくなる(狭窄)し、しっかりと閉じなくなる(閉鎖不全)こともあります。水のでているホースを指で狭めれば、水は遠くへ飛び、時には水しぶきが上がります。
ですから、大動脈弁狭窄症では、血液のスピードが秒速数メートルとなり乱流も発生します。この乱流が心雑音として聴こえてきます。
高齢者に聴診をしていると、20人に1人ぐらい心雑音が聞こえますが、たいていは大動脈弁由来の心雑音です。心エコー検査で流速を簡単に測定できます。
大動脈弁狭窄症は、無症状で進行していき、心不全、胸痛、失神などの症状が出たときには、重症となっていて手術適応の時期となります。

左室は、狭い弁から血液を送らなければならないため、多くの筋肉が必要になります(左室肥大)。そして左室の中は高圧となります。吹き矢を吹く時の口の中と同じです。
例えば、血液のスピードが秒速4mならば、左室と大動脈との圧力の差は64mmHgとなります。これは、上の血圧が120mmHgのときに、左室内は120+64mmHg=184mmHgになっているということです。
最近、血圧が下がってきたので血圧の薬が要らなくなったという場合に、実は大動脈弁狭窄症が進行しているということもありえます。病院を受診しましょう。

大動脈弁狭窄症② -原因がわからない貧血-

大動脈弁狭窄症の人工弁置換術の時に、出血しやすいと感じることがしばしばありました。しかし、大動脈弁閉鎖不全の手術の時は、ほぼ同じ手術方法なのに、そういった印象はありませんでした。
血液の流れは川の流れのように、血管の中心では速いスピードで、端では遅いスピードで流れています。血液は粘っこいので、そのスピードの差で引きちぎられる力が働きます。

大動脈弁狭窄症では、血流が異常に速いためにこの力が強く、出血を止めるために必要なフォンウィルブランド因子が引きちぎられます。流し素麺のとき、最初丸まっていた麺が引き延ばされて途中でちぎれてしまう感じです。その結果、出血がとまりにくくなります。
大動脈弁狭窄症によって出血傾向が出現する病態を、Heyde(ハイド)症候群と呼びます。ですから、この疾患の患者さんに大動脈弁の手術を行うと、貧血が治り原因不明の消化管出血も起きなくなります。