熱中症 ―熱いのか暑いのか―

熱に中(あた)ることです。皮膚からの気温の情報は、2つの経路を通って脳へ伝わるそうです。夏の季節、一つの経路は「熱い」という温度の情報を脳に伝え、もう一つの経路は「不快」という情報を伝えます。その結果、「熱い+不快=暑い」となるわけです。脳が周囲の環境を「不快」であると判断すれば、発汗による「自律性」の体温調節や、その場から逃げ、服を脱ぎ、水分を摂るといった「行動性」の体温調節をします。もし、認知症となり、「不快」と感じる経路が障害されると、「熱い」ことはわかっていても、適切な行動を起こさなくなります。ダウンを着ていても平気で、冷房をつけようと思わないのです。周囲のストレスに対して身体が反応することは、生きるための防衛反応です。その強さとタイミングが適切ならば有益ですが、不適切ならば有害となります。五感からの情報を「不快」と感じる経路は、身体と心をつなぐ回路とも言えます。閉所恐怖症、パニック障害、PTSD、心因性発熱などは、ある情報に対してこの反応が過敏であるためと思われます。