外科医の利き手

平成初めのころ、心臓外科医と言っても、自分らで術前・術後のカテーテル検査や心エコー検査を行っていました。今は主に循環器内科医や技師が行っている検査です。外科医の強みは、心エコーでみた所見を肉眼で確認できることで、またそのように心がけるように指導もされました。心疾患は、画像や血行動態から診断することが多いので、今もこの経験が生きている気がします。測定値ではなくて動きの感覚(印象)です。一方、皮膚科は病変を表現する用語の定義がしっかりと決まっています。循環器内科と皮膚科の診療を行うことは、思い切って言えば、右脳、左脳を使いわける感覚なのかもしれません。心疾患では左右を意識することはあまりありませんが、皮膚疾患では困ったことが多いです。一番の問題は左右で、患者がうつぶせになるとこれが混乱します。その理由は、私が左利きであることが原因だと思っています。左利きを意識する場面は少なくありませんでした。チェロを弾きたくて入部した大学のオケで左利きのチェロはないかと尋ねると、隣にいる奏者と弓がぶつかるから無理だと言われました。医者になって、右胸心の心臓手術のときに左利きの方が有利だと提案したのですが、人工心肺の配置も逆にするのかと上司からたしなめられました。心臓手術はあるがままの位置で行うことが多く、縫いやすい方向に臓器の向きを変えられません。ですから左利きの方がやりやすい場面があります。執刀医は患者の右側に立ちます。大動脈弁は頭側(術者の左側)を向いているため、大動脈弁の手術では左手の方が針の刺入が自然な角度になりやすくなります。また僧帽弁置換術では、左利きの方が有利な場面が多いといわれています。こんなデータもあります。心臓血管外科医の10%は左利きですが、左利き心臓外科医の30%は右手で手術をしています。近年になって、欧州では左利きの心臓外科医のためだけの研修プログラムが立ち上がって、助手との連携などを実践的に学ぶプログラムが始まっているそうです。さらにロボット支援手術も普通に行われる時代になりました。外科医にとって利き手は関係ない時代がもう到来している気がします。

檸檬と揚羽(アゲハ)蝶

何本もある実生のレモンの苗は大きくなりましたが、手をかける時間が無くなりました。根切り虫(コガネムシ幼虫)や絵描き虫(ハモグリバエ幼虫)やアゲハの幼虫の被害に遭ってます。普通によくみるアゲハはナミアゲハといいます。何となくかわいそうな名前です。産卵する苗には好みがあるようで、とても葉が足りないだろう小さな苗に何匹もいたりします。ネットで買った「おにやん〇君」をつるしていますが、全く仕事をしてくれません。都会のアゲハはオニヤンマを知らないみたいです。
卵や鳥の糞みたいな幼虫を見つけてはつまんで投げていました。オレンジ色の臭い突起を出すので、指が臭くなります。突起を出さないおとなしい幼虫もいましたが、さよならしてました。ところが先日、羽がぼろぼろのクロアゲハが産卵しているところを目撃しました。子供のころ読みふけった図鑑では、たしか食草はカラスザンショウで、レモン(柑橘系)が食草とは知りませんでした。あのおとなしい鳥の糞が、実はクロアゲハの幼虫かもしれないと思えてきたので、今年の秋はアゲハを育ててみます。(写真のどこかに卵があります)

カフェイン ―子供のエナジードリンク―

脳が活動した後には、アデノシンというゴミが溜まります。これが眠気を引き起こしますが、カフェインはアデノシンと構造式が似ているので、アデノシンの作用の邪魔をして脳の覚醒状態を維持します。決してカフェイン自体に覚醒作用があるわけではありません。カフェインが切れたときにものすごい疲れが出て、またカフェインを摂取するという悪循環になると、どんどんとゴミが溜まっていきます。アデノシンはレム睡眠中(夢を見ているとき)に掃除されます。レム睡眠中は、脳が体に指令を送る必要がないので、脳は脳のためだけに働けばよく効率よくゴミの処理や記憶の整理そして定着ができるわけです。ですから、受験勉強中はカフェインで徹夜するのではなく、寝て夢を見たほうがよいでしょう。私は小学生の頃は夜8時に寝ていました。土曜日だけは「8時だよ全員集合」を観てよいことになっていたので夜9時に寝ていました。

コーヒーには1杯約50㎎のカフェインが含まれています。ティーンエイジャーは、一日のカフェインの摂取量は(体重kg×2.5)mgが安全とされています。体重50kgなら125㎎となります。コンビニで簡単に買えるエナジードリンクの中には1缶145㎎含まれているものもあるので注意が必要です。成分表示は100ml当たりで表示されているので、350㏄ならば3.5倍することを忘れないでください。エナジードリンクは高カロリーですから、過剰摂取すると肥満になります。また、エナジードリンクを全く摂取しない子供と比べてADHDの傾向が高まることがわかっています。反抗期だと片づける前に、カフェインを摂りすぎていないか確認しましょう。