脳が活動した後には、アデノシンというゴミが溜まります。これが眠気を引き起こしますが、カフェインはアデノシンと構造式が似ているので、アデノシンの作用の邪魔をして脳の覚醒状態を維持します。決してカフェイン自体に覚醒作用があるわけではありません。カフェインが切れたときにものすごい疲れが出て、またカフェインを摂取するという悪循環になると、どんどんとゴミが溜まっていきます。アデノシンはレム睡眠中(夢を見ているとき)に掃除されます。レム睡眠中は、脳が体に指令を送る必要がないので、脳は脳のためだけに働けばよく効率よくゴミの処理や記憶の整理そして定着ができるわけです。ですから、受験勉強中はカフェインで徹夜するのではなく、寝て夢を見たほうがよいでしょう。私は小学生の頃は夜8時に寝ていました。土曜日だけは「8時だよ全員集合」を観てよいことになっていたので夜9時に寝ていました。
コーヒーには1杯約50㎎のカフェインが含まれています。ティーンエイジャーは、一日のカフェインの摂取量は(体重kg×2.5)mgが安全とされています。体重50kgなら125㎎となります。コンビニで簡単に買えるエナジードリンクの中には1缶145㎎含まれているものもあるので注意が必要です。成分表示は100ml当たりで表示されているので、350㏄ならば3.5倍することを忘れないでください。エナジードリンクは高カロリーですから、過剰摂取すると肥満になります。また、エナジードリンクを全く摂取しない子供と比べてADHDの傾向が高まることがわかっています。反抗期だと片づける前に、カフェインを摂りすぎていないか確認しましょう。
手のレントゲンで検査します。もちろん予約なしでその場で結果がわかります。被ばく量が少ないのが利点です。定期的に自分の骨量をチェックしましょう。
骨を鉄筋コンクリートでイメージすると、「骨量」がコンクリート(カルシウム)、「骨質」が鉄筋(タンパク質)となります。骨粗鬆症の治療によって骨量だけ改善すると、硬いけど脆い「陶器」の骨になってしまいます。大腿骨骨折を起こしたときに、通常折れる部位ではなくて、レントゲンで一見丈夫そうに見える箇所が折れます。非定型大腿骨骨折といいます。救急医の頃、整形外科の先生から、「ビスフォスフォネート製剤を何年間服用していますか?」とよく尋ねられました。ですから骨質も重要です。衝撃に対して「しなり」を保つことです。高齢者はタンパク質が不足しがちです。意識的して摂るようにしましょう。
開院1年、あっという間でした。年末年始に発熱外来の勤務もあり、録画しておいた「芸能人格付けチェック」をみて初笑いしました。でも途中の番宣で気づいたのですが、観ていたのは去年の番組でした。
熱に中(あた)ることです。皮膚からの気温の情報は、2つの経路を通って脳へ伝わるそうです。夏の季節、一つの経路は「熱い」という温度の情報を脳に伝え、もう一つの経路は「不快」という情報を伝えます。その結果、「熱い+不快=暑い」となるわけです。脳が周囲の環境を「不快」であると判断すれば、発汗による「自律性」の体温調節や、その場から逃げ、服を脱ぎ、水分を摂るといった「行動性」の体温調節をします。もし、認知症となり、「不快」と感じる経路が障害されると、「熱い」ことはわかっていても、適切な行動を起こさなくなります。ダウンを着ていても平気で、冷房をつけようと思わないのです。周囲のストレスに対して身体が反応することは、生きるための防衛反応です。その強さとタイミングが適切ならば有益ですが、不適切ならば有害となります。五感からの情報を「不快」と感じる経路は、身体と心をつなぐ回路とも言えます。閉所恐怖症、パニック障害、PTSD、心因性発熱などは、ある情報に対してこの反応が過敏であるためと思われます。