ある日曜日の診療は、はたして救急外来みたいになりました。心筋梗塞はカテーテル治療までの時間が勝負です。病院のドアを入ってからカテーテル(バルーン)治療までのDTB(Door To Balloon)時間を90分以内にすると、心臓のダメージが少なくてすみます。すでに日本のカテーテル治療技術はすぐれていますから、いかに治療のできない病院での滞在時間を短くするかが、次の一手です。病院のドアから入ってドアからでるDIDO(door-in to door-out time)時間と呼びます。開業医はすぐ心電図をとって救急車を呼べということです。市内なら救急車に乗ってしまえば大概15分以内で緊急治療ができる病院へ着けます。ところが、日本人は痛みを我慢しがちです。さらにコロナ禍になって、心筋梗塞になってから受診までの時間が、2時間台から4時間に伸びてしまいました。いくらDTB時間やDIDO時間を短くしても、病院へ来る前の時間が長ければ、治療効果が減ってしまします。兎にも角にも、今まで経験したことがない胸痛が15分続くときは救急車を呼んでください。DHB(できるだけ早く病院へ)です。
今まで経験したことのない胸の痛み ―DIDO時間-
2022年1月30日