聴診 ―心音―

1980年代の金沢大学第一外科岩教授の講義は、2学年200人の合同で、ポリクリの6人のグループが一番前に座らされて、胸のレントゲン写真、心電図、そして本物の患者さん(時には赤ちゃん)が講義室にきて聴診をして、この3つの情報だけで病気を診断し、教授から質問攻めに遭うという恐ろしいものでした。「聴診器で最初に何を聴くのだ?」との問いに答えられるまで先に進みませんでした。聴診の所見は、「胸骨右縁第2肋間に最強点を有するLevine2/Ⅵの収縮期駆出性雑音を聴取します」というふうに答えなくてはだめでした。スライド講義はというと、ほとんどがWPW症候群で、全国からが受診していることを示す日本地図の記憶しかありません。
「心音(心雑音)を捕りにいく」―開業医にとって大事なことだなと追憶しています。