単純疱疹(初感染) ―大人にも起こるヘルペス性歯肉口内炎―

口唇ヘルペスは、神経に潜んでいた単純ウイルスが再び活動することで起こる「再発」です。初めての感染はというと、症状が出ないことが多いので、いつ感染したかわかりません。しかし時に「ヘルペス歯肉口内炎」を起こすことがあります。最初の2日間ほど高熱が出て、何だろうと思っていると、歯茎がはれてきて口内炎を生じ、歯磨きで出血して口臭も強くなります。単純ヘルペスは、ほとんどが乳幼児期(6か月~3歳)に親からうつるので、本来「ヘルペス歯肉口内炎」は子供の病気です。しかし近年は、“虫歯は感染症である”という認識も広まり、親の食べ物の口移しもしなくなり、孫にキスしようとするおじいちゃんに腹が立つようになりました。ある意味“きれいに”育てられた今の若い人たちの半数は、実は単純ヘルペスに罹っていません。その人たちは、今後ウイルスに接触すれば、「ヘルペス歯肉口内炎」を発症するかもしれないし、ずっとウイルスに出会わなければ、生涯口唇ヘルペスを経験せずに済む可能性もあります。